明宝(岐阜県明宝村)

    全体的な印象として、岐阜県の道の駅はかなりレベルが
  高い。ほとんどの駅に個性があり、情緒があり、充実した施設
  がある。私は以前、岐阜県某町の温泉を訪れたときに、すでに
  札止めだったにもかかわらず頭を下げて頼みこんだところタダで
  入れてくれたという経験をしたことがある。以後、私はこの“お人
  好し”を岐阜県民の県民性と考えているのだが、道の駅の性質
  を見て、ますますその確信を強めた。人がいいから良い施設を
  作れ、人がいいから地場産業にも恵まれるのではないか、とい
  うことである。
    【明宝】は、特に目玉となる施設があるわけではないのだが、
                         非常によくまとまっている印象を受ける。写真(上)の物産館はとに
  かく大きく、明宝村特産の“明宝ハム”などが所狭しと並べられ
  ている。写真の左手の方に行くと、小さなテナント店が並ぶ一
  角があり、ここの“飛騨牛の鉄板串焼き”もなかなかの味だった
  (200円)。
    さらにおすすめなのは、写真でいうと物産館の右側にあたる、
  無料休憩所の“磨墨庵”の雰囲気だ。中には慕情をそそるいろ
  りが焚かれ、締めたばかりのイワナが塩焼きにされている(写真
  中)。このイワナは、300円で味わえる。さすがに天然物ではな
  いようだが、この値段は破格だ。ほとんど儲けなどないんじゃな
  いかと心配になってしまうくらいである。
    因みに、この囲炉裏火は、なんと、約770年もの間燃え続
                         けている(分火)という。この火を使って沸かしたお茶の無料サ
  ービスもあり、鉄瓶で沸かしたお茶の独特な甘苦さを楽しめる。
  磨墨庵の背後には吉田川の清流が流れ、目にも耳にもやさし
  い光景に浸りながら、時間を忘れてのんびりできる。
    これだけの施設ができるのも、岐阜県民の人の良さが故で
  はないだろうか。儲けを度外視して、とにかくお客にくつろいでも
  らいたい、そして自分たちも一緒にくつろぎたい。そんな意図が
  手に取るように伝わってくる駅だった。
    因みに、下の写真はイワナの生簀と調理場。ここで、生きた
  イワナの“ワタ”を抜き、鉄の櫛をブスッとやる。運が良ければ、
  手際のいい捌きっぷりも見ることができるだろう。